ここには80年代に建てられた三重の塔があって、とても現代に建てられたとは思えない見事出来栄えです。一部の寺にはミニチュアやコンクリートで作った冗談のような三重の塔や多宝塔がありますが、ここの三重の塔は本気です。下世話な話ですが、バブル期だったのも幸運だったのでしょうが莫大なお金がかかっていると思います。
趣味に対する大人の本気を全面に押し出しているのが、須磨寺の個性になっていて、口の悪い人物は珍名所だと言いますが、私はそうは思いません。風変わりな像は主に墓地周辺に限定されていますし、墓地自体が名士の立派な墓碑や謎めいた形の供養塔があり、行ったことはないので想像ですが、同じ真言宗の高野山墓域も似たような雰囲気があるのではないかと思います。ともあれ、それら関西弁で言うところの「けったい」な像たちも手抜かりはなく、仏像として完成度が高いのが全く尊敬に値します。
現代三重の塔やらモダン仏像やらの評判に隠れてしまっていますが、本堂は重要文化財にも指定されていて立派です。お庭もとても綺麗で、境内はかなり広く、全体的に瀟洒な雰囲気で統一されています。本堂周辺に「けったい」な像はありませんが、どう見ても石畳なのに踏み出してみたら弾力材だったりと、なかなかアグッレシブです。
真言宗のお寺には現代的な要素を果敢に取り入れようとするお寺が少なくなく、ここもまさにそう言うお寺なのでしょうが、遊びの要素に強いこだわりを感じます。なんと言うか、いつか失われた神戸っ子のソウルがこのお寺にはまだ残っています。
思ったよりも境内が広かったので、須磨寺公園は次の機会にしたいと思います。
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